ササニシキ他の特別栽培米の販売について

月山パイロットファームでは、もう50年弱、会長による創業のときから有機農業による米の生産にも力を入れてきました。

2024年も新たな作付けを行うために、鋭意準備中です。また、2023年分の特別栽培米(山形県の慣行よりも8割減)も販売を継続しています。

継続的なお取引先様を探しています

現在、2023年産以降のお米について、継続的にお取引いただける法人・個人の方を若干名募集しております。現在ところ、生産品の大部分は、お取引先が数年〜数十年単位で固定させていただいているため、大量発注には対応が難しいですが、たとえば、数名のご家庭や、小規模で特徴を出したい飲食店の皆様には最適と考えております。

不定期で、弊社または弊社近郊で四季折々収穫できる農産物を「おまけ」として同梱させていただいております。

昔ながらの農家の精神で、いっぱい採れたからお裾分けであり、最近の言葉ですとシェアに当たるかもしれません。食べていただくことで、広い意味での「生産」に参加してもらうという意識です。毎年時期になると届く「おまけ」の方も(が)、楽しみとおっしゃってくださる方もおられます。辛味大根、あさつき、もってぎく、小松菜、むらさきおりな、キウイ、青大豆等々、まさに超レアな数量限定(出荷するほどの数量にならない)品が入ることがあるからかもしれませんね。

ササニシキの特徴 -日本食の基礎を支える-

たとえば、ササニシキは栽培が難しい品種であり、栽培農家が非常に限定的になってきました。

しかしながら、ササニシキは粒が小さいこともあり、炊き上がりがサラッとした食感になり、素材を活かした繊細な握り寿司やちらし寿司、炊き込みご飯等でも素材・具材を最大限引き立てることができます。

また、粒が小さいことで、中心部分だけに水分を多く蓄えるアンバランスが緩和され、冷えても粒が残ります。そのため、団子状になりにくく、市販のおむすびのように、油分その他を添加して、冷えたときにも粒がバラけるように炊飯する必要はありません。

近年「Obento」(お弁当)がワールドワイドに使われるようになっていますが、もともと日本で冷えたご飯でも美味しくいただいていた背景には、粒の小さいお米の特徴も影響していたのかもしれません。

長年お付き合いさせているお客様には、お米のアレルギーをお持ちの方もいらっしゃいますが、比較的症状が出にくいとのことで、継続してご購入していただいている事例もございます。

ご飯を基礎にして組み立てられている日本の食事は、日本人の身体にも気候風土にも根ざしたものと考えます。時間の淘汰を経て、洗練されてきたものです。食に制限がある方々にも、ササニシキをはじめとした従来の品種に注目していただくことをお勧めいたします。

圃場見学も承っています

継続的なお取引により、お客様ごとのニーズを事細かに把握しています。

多くの場合、お電話口の声を聞いただけで、お互いが分かる関係構築ができていることを非常に誇りに思います。私たちは、日々の食卓を支えるだけではなく、お米で活力を得ていただき、食べてくださる皆さんの生活や未来を支えるという強い意識を持っています。

長年のお付き合いから、実際に関東圏のみならず、全国津々浦々からご挨拶にいらっしゃるお客様もおられます。圃場管理は常に現在進行形であり、人員も限られるため、おもてなしも本当に限定的ですが、大変にありがたく思っています。

人生山あり谷ありですが、佐藤初女さんもおっしゃっていた『穀力』を得て、力強く、そして楽しくお過ごしいただきたいです。

丁寧に育てられたお米の副産物

もちろん、私たち自身が、子どもにも孫にも、親戚にも、そして大事な友人たちにも、その人の健康と幸せを願って当社のお米を送ります。食べますし、食べさせています。

たとえば、ササニシキであれば、お米を研ぐときに手に当たる感覚で粒の小ささに気がつきますし、炊き上がるときに、香りの違いに気がつきます。

触れる人の五感や食べることに対する意識までも、静かに鍛えて行くほどの力を持っていると考えています。

四季折々の素材そのものを活かし、シンプルに味を愉しむことができる味覚を持つのは、世界的にみても極めて稀です。その味覚が育つ根底には、塩さえも加えずに炊き上げる、お米の存在があるのだと思います。

たとえば、イタリア語で日本の白ご飯を表現するときに、「riso senza sale」(riso = お米、 senza = 〜なしで、 sale = 塩)と表現すべきだと、故マイッツァ先生がおっしゃっていました。塩の味付けなしで、かつ、単に茹でるのではなく、水加減と火加減、さらに加圧という技術をプラスして「炊き上げる」ことで、お米の甘みを最大限に引き出すことができます。

炊飯器も、マイコンジャーという熱を適宜加えるものから進化して、IHで圧力を調整するという技術革新があります。

お米というシンプルな穀物がもたらした進化や文化は、日本社会の基礎かもしれませんね。

小規模な圃場と行き届いた管理がもたらす統一感

田んぼの面積が限定的であるため、収穫量は多くありません。しかしながら、それぞれの田んぼが、数年〜数十年という単位で、減農薬または有機栽培の圃場として使用してきたものです。そのため、土自体が、そもそも違っています。

田んぼに加える肥料、腐植に至るまで、特に安全性や地域性、社会性までも考慮して、厳選したものにしています。

その結果、お米は、ブレンドする前からブレンド米のような品質にはならず、統一感が出ます。もしもその後に、レストランで自社ブレンドにする場合にも、個性が統一していた方がより完成度が上がってきます。

ご家庭であれば、同じ水加減など条件を同じにしていれば、炊き上がりが均一になりやすくなります。

特徴ある小規模飲食店を経営されている方へ

これまでも大変多くのお取引先様に、弊社農産物や漬物をはじめとした加工品をご利用いただいておりました。

月山パイロットファームのお米は、味や品質の特徴に加えて、ストーリーがあります。出荷方法も、3キロ、5キロ、30キロ、白米、玄米、歩づき等、違いに継続可能な方法で対応させていただきますので、ご相談ください。

お問い合わせ

お問い合わせはお気軽に。

TEL:0235−64−4791
gassanpf@gmail.com

生活クラブ青果の会 全体会に参加

2024年2月22日 @JA全農青果センター大会議室(埼玉県戸田市)

第18回生活クラブ「青果の会」総会・全体交流学習会に参加しました。

今回は、出雲路のみ、初の参加となりました。長年にわたって会長の相馬一広が世話人を務めさせていただいていたこともあり、お顔が認識できておらず、ご挨拶ができなかった方々には大変失礼を申し上げました。

4年ぶりの開催

コロナ禍で、生活クラブ向けのみならず、野菜や果物の供給を担う生産者は病に倒れることを避けるべく都市部での会合は避けられてきました。

そのため、4年ぶりの開催ということで、緊張感と安堵が入り混じるような雰囲気だったかと思います。

会長を務められる沃土会の丸山さんがご挨拶の中で、「どんな愚痴でも結構です。みんなで改善できる状態にしていきたい」と述べられていました。

農家は饒舌でない方が多いです。まさに最前線で土を耕している人もいれば、いわゆる営業担当もいますし、農協の職員もいる会です。立場を超えて、抱えている不安や疑問を話せる場(この一度きりの会だけでなく)があれば良いなと思いました。

生活クラブ連合会 村上会長もご挨拶

コロナが一段落し、生産者と組合員とが話す場を再開できてよかったこと、そして、観測がなされた125年間で最高の気温の猛暑の中で、青果物の供給に感謝していますと述べられました。供給高は、ここ3年間でおよそ95.5%,104.5%  99%程度という推移。

生活クラブでは、青果の独自の基準として、「あっぱれ野菜」「はればれ野菜」「たぐいまれ野菜」その他の区分がありますが、特に「あっぱれ野菜」「はればれ野菜」を食べる消費者を増やす努力していきたいとのことでした。

2024年2月に、「あっぱれ野菜」「はればれ野菜」の野菜セットが1万点を達成したこと、そして、さらに登録者数を増やすことが必要性を認識されていました。

この10年間、100万人の農業生産者が減ったことは、農水省のHPからも明らかですが、他の生協と協力し農業者への対策を求め、国会に要望書を提出してくださるそうです。

供給数が1万を超えたとしても、生産と供給の価格体系の均衡が取れているとは認識しておらず、やはり政府の関与が必要と考えており、また、消費者も、安定した食糧生産がないと困るという点を認識したいと述べられました。

良いものを持続的に生産する生産者を支えて行きたいという言葉に、生産者も励まされたと思います。

JA全農青果センター坂本部長からは、全大会開催への祝辞とともに、供給実績の伸びから考えて、青果の会のこれまでの取り組みが「組合員の満足度につながっているのでは」とのご指摘がありました。

JAこしみずさんからは、「はればれ野菜」のブロッコリーが供給されることになったこと、コロナ禍では産地(丸エビ)と組合員による動画制作などがあった点も報告がありました。

組合員の満足度を向上させる取り組みには、青果の会の必須条件と考えること、また、今年度は「アースメイド野菜」と果実の拡大の取り組みを柱として行くために協力をお願いしたいとのことでした。

生産者との提携を解消、離農の現実

新しい提携先が見つかる中で、離農したり提携を解消する生産者もあり、全体では生産者数が純減しているそうです。

暗い話題ばかりでは残念ですが、肥料価格やエネルギー価格、輸送コスト等も上がる中で、なかなか明るい話題を見つけることが難しい現状です。

しかしながら、一部の生産者団体は、新たに実績を伸ばしているところもあります。長年の努力の賜物と思います。人を育てるのは時間がかかりますが、方法はきっとあるはずです。

日本は、こんなに国土が小さいのに、四季があり、気候にも差異があり、各地の非常に美味しい食べ物がある大変に自然豊かな国です。各地の生産者のお話を聞いて、改めて感じました。

自国の食糧生産を今後どうして行きたいのか、特に穀物は、その国をその国たらしめるほどの文化的な土壌をもたらすと考えます。人口減なので問題は生じないのか、AIとロボットが請け負ってくれるので大丈夫なのか…うーん、と思いながら帰宅しました。(毎年Boston Dynamicsのロボットの進化を見ていますが、素人が使える日が来るのはしばらく先だと思います。)

組合員メッセージ、ありがとうございます!

メッセージカード、届きました。
組合員の皆さん、確かに受け取りましたので、ご報告いたします。

皆さんも、庄内の寒さに耐えながら育った小松菜から、元気のかけらを得てください!

多少しおれてお手元に届いても、小松菜は一度水洗いしていただくと、シャキッと復活してくれるはずです。

月山パイロットファームだけでなく、大変多くの生産者が、生活クラブの野菜生産に携わっています。皆さんのお気持ちを、ぜひ言葉にしてお伝えください。

私は、沃土会さんの野菜がとにかく大好きで、どろんこのメッセージカードに、さらにメッセージを書いて返信することがあります。モロヘイヤの茎がだんだんと硬くなって行くのを感じながら、あー、今年も夏のピークが過ぎたなと思って、夏の作業につくづく感謝しています。埼玉県の奥地が、どんな暑さかと…

理解ある組合員の皆さんもさることながら、生産者のお名前を拝見し、食べたことのある野菜・果物を思い出し、同じ会議に出席させていただいて本当に光栄と思う会でした。どんな形であれ、10年、20年と、本当にしっかりと続けて行きたいと決意を新たにしました。

文責:出雲路

あいコープ共生会 第35回総会

2024年2月9日 @宮城県秋保温泉 ホテルニュー水戸屋

2019年松島開催以来、5年ぶりの実開催になったとのことでした。

今年はだだちゃ豆生産について区切りとするため、出雲路が参加させていただきました。長年のご担当の方にも御礼とご挨拶ができ、気持ちの上でも節目とすることができました。

能登地震と東日本大震災

宮城県と言えば、東日本大震災で壊滅的とも言える被害を受けたところです。今年元旦の能登地震の様子を見て、当時のことを思い出した生産者や生協関係者の方がほとんどだと思います。総会中も、端々に能登地震の被害について、触れる場面がありました。

特に、あいコープふくしまは、原発による被害が今なお続いている中で、まずはあいコープの知名度を上げ、仲間を増やす取り組みが報告されました。

総会会場では、昨年、開発や取組みで目玉となったマヨネーズ等の商品の一部が販売されており、商品紹介とともに、販売益を能登地震への寄付とする仕組みが作られていました。

資源循環への具体的取り組み

コロナも落ち着き、組合員と生産者が直接対話できる環境が戻ってきたことで、改めて資源循環という視点から活動を始めたという報告が、とても印象的でした。

地場の複数の生産者や組合員、東北大学の学生等、様々な人たちが関わって、これまで廃棄されていた未利用資源を活用して行く取り組みです。生産者も、まさかこれが役立つ=資源になると思っていなかったり、活用すれば資源になるのだけど… と頭では分かっていたけれども一歩踏み出す余裕がなかったり、こういった点と点が少しずつ結び付いて、小さなうねりが生まれていました。

生産者どうしのふれあい

宮城まで来ないと会えない生産者仲間もいて、数名つかまえて(!)ご挨拶や近況をうかがったりすることもできました。特に、会長の世代の人たちとのお話は貴重ですし、震災から立ち直った生産者たちの力強さも励みになります。

豆腐、醤油、練り物、牡蠣、野菜、果物、石鹸等々、こだわりを持ってよく頑張っていらっしゃいます!

みんな、決して全てが順調というわけではないと思いますが、本当に温かく、ものを生み出す人たちの寛容さというか地に足のついた「覚悟」のようなものを感じて帰ってきました。

職員の皆さんは、非常に若い方も多く、みな力を合わせて成長して欲しいと強く感じました。

組合員は圧倒的に女性、しかも家庭がある女性が多いはずです。決定権のあるところで、子育ても介護も日常的にこなす人たちが活躍できれば、今後の日本の経済状況で力強く成長を遂げる原動力となるでしょう。

地方の生協という立場であるからこそ、機動力を持って少子高齢化にも柔軟に対応して行ってほしいです。

会場となったニュー水戸屋さんは、和の雰囲気で満たされていました。

2023年夏 だだちゃ豆

生育のタイミングを逃すと、手の施しようがない程の草に埋もれます。

畝の間に佇むと、自分がピータラビットのうさぎになったかと錯覚。草むしり「体験」程度ですが、鎌を使ったり、引き抜いたりしながら10センチくらいずつ先に進みます。

毎年のことですが、頭に浮かぶのは、種田山頭火『分入っても分入っても青い山』。分入っても分入っても緑。

そして、草むしり/草刈りを頑張ったにもかかわらず、記録的猛暑の庄内平野でも雨が足りず、お盆過ぎの最も美味しい品種が全滅…

燦々と陽が降り注ぐようになったと、満足だったのも束の間でした。
無駄な努力だったかもしれないですが、あれ程の草ですから、だだちゃ豆の根元にしっかりと敷いておいたら良かったかなと、今でも後悔しています。

来年も生産を続けるか?という疑問に対し、秋口は「もうやめよう」でした。

月山パイロットファームだけでなく、多くの高齢者が多い生産団体や農家の皆さんは、同じことを考えていたと思います。

ここでチャンス!と思うほどにアグレッシブだと良いのですが。ドイツやフランスの農家は、トラクターでベルリンのやパリの凱旋門を占拠するなど実力行使に出ていましたが、その元気すらないのではと思うことも。

しかしですね、収穫したてのだだ茶豆、何とも新鮮なのが伝わるでしょうか。

茹でた時の香りが、普通の枝豆とは別物。まさに庄内の大地とお日様の味と香りの賜物なわけです。

この写真を見ただけで、味の想像がつくわけで、絶対にまた食べたいと思います。記憶の中で、味のスタンプは極めて強いですね。とにかく、私は、少なくとも自分で食べる分は育てるために尽力しよう、と心に誓うのでした。

こんなに美味いものを食べずにいられるものか!←本気です。

月山パイロットファームの圃場のだだ茶豆は、農産物というより「価値」です。食べたときに、口の中や胃袋というよりも、脳の奥が決定的に刺激される感覚。ぜひ現地でご賞味いただきたい食体験です。

2023年7月の生活クラブ庄内交流会で、プレゼンした際の「だだ茶豆はどれでしょうクイズ」。もはや木と化した草を鎌でカットするのに夢中なあまり、だだちゃ豆まで間違って切ってしまうことも。

2024年は、予想以上の収穫となったという報告をしたいものです。

文責:出雲路

地元JAの研修生(様様!!)

だだちゃ豆、収穫時には猫の手も借りたい!!

今年も無事に?その時期がやって来ました。万年戦力不足の月山パイロットファームでしたが、山形大学の学生さんや地元企業の研修等々に支えられ、なんとか凌いでいます。

そして今年も、救う神あり。ありがたや。

収穫後のだだちゃ豆の選別に、ヘルプに入っていただきました。

写真では伝わりませんが、選別機は相当の音が出ますし、埃が舞い上がりますので、作業に集中するのも一苦労。小刻みに揺れながら移動するだだちゃ豆を目視して、規格に合わないものを抜き取って行く作業です。

数センチのだだちゃ豆が相手ですから、根気が必要です。

販売する人たちが、販売するものを理解することは、当然のこと。しかし、実体験で学ぶ機会はなかなかないと思います。

こちらとしては、手伝っていただいてありがたいという気持ちもありますが、現場を理解してもらえるという点が、さらに嬉しいです。

そう言えば…

NASAで、今また月面着陸を目指してアルテミス計画が進行中ですが、司令室の長がNBCのインタビューに答えて「トレーニング、トレーニング、トレーニング」と3回繰り返していました。

やっぱり、NASAでさえも、一つ一つ学びながら、失敗を繰り返すことで、大きなことが実現して行くのだと思いました。

お二人も、ぜひこのような小さな経験をたくさん繰り返して、大きな未来を創って行って欲しいです!応援しています。